「低FODMAP食」がお腹の悩みを抱える人に有効な食事法として、世界的に注目されています。
- 便秘と下痢を繰り返す
- 食後にお腹がゴロゴロ鳴る
- オナラが出すぎて困っている…などなど
「低FODMAP食」はオーストラリア・モナッシュ大学 で化学的に証明された食事プログラムで、過敏性腸症候群(IBD)の症状改善が多数報告され、食物不耐症の人にも有効だと言われます。
グルテンフリーで制限される小麦や大麦は「低FODMAP食」でも同様に制限するため
そう感じた人たちが、グルテンフリーから「低FODMAP食」へ除々に切り替えているようです。
「低FODMAP食」とは?
「FODMAP」は発酵性のある吸収されにくい4種の糖質を意味しています。
F 発酵性の Fementable
O オリゴ糖 Oligosaccharides
D 二糖類 Disaccharides
M 単糖類 Monosaccharides
果糖(フルクトース)…蜂蜜・リンゴ
AAnd(アンド)
P 糖アルコール Polyols
FODMandPは、それぞれの頭文字をとった造語で、新しい糖質制限とも呼ばれます。
「低FODMAP食」の特徴
本来であれば「腸に良いとされている食品」を食べないことが、最大の特徴です。
健康な腸をもつ人にとっては、腸内環境を整えてくれるありがたい食品も、お腹に不調を抱える人にとっては逆に悪影響 = お腹の不調を引き起こす原因になることが近年明らかになったからです。
- 発酵食品 ◎
- 食物繊維 ◎
- オリゴ糖 ◎
- 発酵食品 △
- 食物繊維 △
- オリゴ糖 △
「低FODMAP食」では、発酵食品・食物繊維・大豆製品など「腸活」に代表される食品を控えます。
自分の腸に合わないFODMAPを知る
私たちの腸にいる腸内細菌の種類やバランスは、個人差が大きく人それぞれ異なります。
そのため、まずは自分の腸に合わない「発酵性のある糖質」=FODMAPを見つけることが1番大切です。
- 腸に良いとされている食品が、逆にお腹の不調を引き起こすことがある
- 自分の腸に合わないFODMAPを見つけて、そのFODMAPだけを控える
- 腸内環境は人それぞれで異なるので、合わないFODMAPも人によって違う
誰にとってもFODMAPが吸収しにくい糖質であることは共通なので、今はお腹に問題がない人でも、FODMAPを多く含む食品を過度に食べ過ぎないほうが良いのは確かです。
ただし、腸に問題のない人がむやみに「低FODMAP食」に取り組むと、せっかく腸を整えてくれている食品を避けることになり、デメリットの方が大きくなるので注意してください。
糖質制限との違い
ダイエットで知られる「糖質制限」は食事の糖質全般を極力カットする食事法のことですが、「低FODMAP食」はヒトが吸収しにくい発酵性のある糖質のみを制限します。
低FODMAP食 | 腸が吸収しにくい「発酵性のある糖質のみ」を制限する食事法 |
糖 質 制 限 | 食事に含まれる「糖質全般」を極力へらす食事法(1日20g以下) |
一般的に「糖質制限」ではご飯・パン・麺・イモ類などの炭水化物や甘い物を控えて、タンパク質と脂質が主成分の食品(肉・魚・豆類・野菜・乳製品など)を中心に食べます。
それに対して「低FODMAP食」は米類に制限はなく、逆に豆類や乳製品、食物繊維の多い一部の野菜などが控える対象に入っています。
「低FODMAP食」はダイエット法ではないことを忘れないでください。
どんな人に向いてるの?
「低FODMAP食」は、いま現在、お腹に不調を感じている方のための食事法です。
お腹の調子を良くしようと色々と試したけれど上手くいかない方、IBS(過敏性腸症候群)やSIBO(小腸内細菌の増殖)の可能性がある方に最も有効です。
- お腹に不調を感じている人(便秘・下痢・オナラ・張りなど)
- 過敏性腸症候群(IBS)の人(疑いのある人)
- SIBO(小腸内細菌の増殖)の人(疑いのある人)
- 運動誘発性胃腸症候群(GIS)の人(疑いのある人)
下痢が続いている人は注意
これから「低FODMAP食」に挑戦してみようと思っている方で下痢の症状が長く続いている場合、まずはクローン病や潰瘍性大腸炎などの疾患について病院で検査することを医師が推奨しています。
以前はアジア圏では稀な疾患とされていましたが、年々患者数が増加し続け、現在日本にも約4万人のクローン病、17万人の潰瘍性大腸炎の患者が登録されています。
特にクローン病は若い頃からの下痢が特徴の一つで、内視鏡検査をしないと見逃されてしまうことが多いそうです。
近年、日本人の「大腸がん」が急速に増え続けています。 特に女性はがんの死亡率1位、患者数も乳がんに次いで2位、早期の大腸がんは症状が出にくい特徴があり、これが死亡率を高くしている理由の1つだそうです。 大腸がんを患う方は、若い頃[…]
期待できる効果
お腹に不調を抱える方の多くは、腸内細菌のバランスが崩れて悪玉菌が増殖した状態になっています。
自分に合わないFODMAPを制限することで、腸内の過剰な発酵を防ぎ、腹痛・膨満感(張り)・ガス・便秘・下痢などの軽減、もしくは改善を目指します。
- お腹の不快感の解消
- 頻繁におきる腹痛の軽減
- 便秘や下痢の軽減や解消
- お腹の張りやゴロゴロ鳴る症状の軽減や解消
- オナラの回数の軽減
- オナラの臭い(悪臭)の改善 など・・・
長い間、お腹の不調によって自分らしいパフォーマンスが発揮できずに悩んできた人は、そのストレスから解放されて毎日の生活がとても楽になったと感じるようです。
また食物不耐症の症状に悩んできたけれど、原因が特定できずに困っていた場合、「低FODMAP食」を試すことによって原因特定につながるケースもあるようです。
「低FODMAP食」の注意点
たまに「低FODMAP食は該当食品をすべて除去すべき」と誤解しているような記述を見かけますが、耐性を持っているFODMAPを無理に避ける必要はありません。
仮にIBS(過敏性腸症候群)やSIBO(小腸内細菌の増殖)の方であっても、FODMAPを完全に排除する必要はなく、例えばフルクタンがダメな人も1日少量(3g以下)であれば食べても問題ないそうです。(除去期を除く)
一人一人の腸はそれぞれ異なるため、現れる症状もFODMAPへの耐性も人それぞれです。
まずは自分の腸にどのFODMAPが合わないかを分析し、自分の許容量を知ることが大切です。
- 万人の腸によい食事はないことを理解する
- 自分にあわないFODMAPを知り、そのFODMAPの許容量を守って食べる
- 合わないFODMAPだとしても過剰に意識/除去しすぎない
- お腹に不調がないのに、ダイエット目的で取り組まない
- 下痢が続いている場合は、まず病院で内視鏡検査を受ける
- 食事以外の方法(規則正しい生活や運動・睡眠など)も検討してみよう