ヒトが食べ物を消化するのは「小腸」です。
小腸に「小麦」が入ってきた時に、ざっくり分けると4つのタイプの人が存在します。
2.小麦に含まれるタンパク質に反応し、免疫反応として症状がでる人
3.小麦に含まれるグルテンを消化・分解できない人
4.小麦に含まれるグルテンに反応し、体の免疫システムが小腸を攻撃してしまう人
- は、小麦を食べて問題のない人
- は、小麦アレルギーの人
- は、グルテン不耐症(過敏症)の人
- は、セリアック病の人
小麦を摂取することで、カラダに異変が起きる点は234とも共通です。
ただし、ときに命に関わる「小麦アレルギー」と、食物不耐症の1つである「グルテン不耐症(過敏症)」や自己免疫疾患である「セリアック病」は、医学的には明確に区別されています。
グルテン不耐症とは
「小麦アレルギー」と「セリアック病」以外で、「グルテン」を含む食品を摂取するとカラダに何らかの不調が現れる疾患を総称して「グルテン不耐症(過敏症)」と呼びます。
パンや麺類など小麦製品に含まれる「グルテン」を摂取すると不調に陥り、食べるのをやめると改善しますが、血液(IgE抗体)検査は陰性で、小腸への損傷もみられないのが特徴です。
グルテン不耐症の症状
大人になっても治らないニキビ、頑張っても成果が出ないダイエット…
グルテン不耐症の症状は人によってさまざまですが、日々感じている小さな不調と関係している場合が多いと言われています。
- アトピー性皮膚炎
- ガス・下痢・便秘などお腹のトラブル
- 慢性的な手足の冷え(痛み)
- 頭痛・片頭痛
- 腰や膝(ひざ)などの関節痛
- 頭がスッキリしない(ブレインフォグ)
- 腕や背中にブツブツがでる(毛孔性苔癬・毛孔角化症)
- 肘(ひじ)にできる疱疹状皮膚炎
- めまい(ふらつき)
- 慢性的な疲労感
- 集中力が続かない(やる気がおきない)
- 気分に波がある
- ホルモンバランスの乱れ(月経前後に体調が乱れやすい)
- 食べても食べても、食べたくなる
- 急激な体重の増減・・など
- 低血糖症の人の約3割が、グルテン不耐症だという報告があります。
- タンパク質の構成が似ていることから、グルテン不耐症の人は大麦とライ麦も避けた方が良いとされています。
オナラが臭い?!
「グルテン」によって引き起こされるお腹の症状(お腹が張る・ガスが溜まる等)は、他の食物不耐症(乳糖やレクチン不耐症)と比べて食後少し時間がたってから起きることが多く、明らかにオナラが臭いという特徴があるようです。
ジョコビッチ選手はグルテン不耐症?
プロテニスプレイヤーのノバク・ジョコビッチ選手は、自身の著書「ジョコビッチの生まれ変わる食事 」に自分はグルテンと乳製品の不耐症だと書いています。
試合を途中棄権するほど体調不良に悩まされていた彼が、グルテンフリーを行ったことで体調を回復し、世界ランキング1位に輝いた功績はグルテンフリーを世界中に広める大きなキッカケとなりました。
自閉症との関連性
自閉症の子どもは便秘や下痢など胃腸障害を持つリスクが高く、それが気分や行動パターンにも影響していると考えられています。
最近の研究で、一部の自閉症の子どもはグルテンに対する免疫反応が強く出ることが示され、グルテンとカゼイン(牛乳やチーズに含まれるリンタンパク質の一種)を除去することで、症状が改善されたという報告がいくつか上がっています。
グルテンフリーによって自閉症児が抱えるあらゆる症状が完全に治るわけではありませんが、一部の人には症状の軽減や改善がみられるようです。
検査方法
食物不耐症の検査は、基本的に保険適用外です。(費用は3万円~)
※セリアック病の疑いが強い場合に限って、抗体の測定検査(保険適用)が実施される場合があります。
igG抗体検査(血液検査)
グルテン不耐症の約8割の人がigGの反応を持っているため、igG抗体検査(保険適用外)を行うクリニックが多いです。
ただしグルテン不耐症であっても、約2割の人はこの検査で反応が出ないと言われています。
この検査の結果だけを元に食物除去を行うと、問題ない食品まで除去して健康被害を招く恐れもあるので注意が必要です。
自宅で行うチャレンジテスト
3週間、自宅でグルテンフリー(小麦を含む食べ物や加工食品を全て避ける)を行い、自分自身で変化を確認する方法です。
- まず3週間、小麦を含む食品を全て避けて生活します。
- お腹の調子、便の状態、皮膚症状、普段感じている不調など、小さな変化も見逃さずに記録します。
- 3週間が過ぎたら毎朝、100%小麦製のパンを数日間食べてテストします。
- 消えていた症状や不調、頭の中がボーッとする感覚(ブレインフォグ)などが現れたらグルテン不耐症と判断します。
- コンビニやスーパーで売られているパンには大量の添加物が含まれているので、正しい判断ができない場合があります。
- 可能であれば国産小麦のパンでテストすると、より正確にグルテンに対する反応をチェックができます。
- パン屋さんで売られている「無添加&酵母菌で作られたパン」がテストにオススメです。
グルテン不耐症の対処法
現在のところ対処(治療)法は「グルテン」を体内に入れない(食べない)食事療法のみです。
ただし、これには注意点があります!
日本のスーパーで現在売られている調味料や食材のほとんどに「小麦」が使用されています。
グルテンをつなぎに使っている食品も多く、「小麦・大麦・ライ麦を含む食材を一切食べない」となると外食も厳しくなります。
完全にグルテン食卓から除去しようとすると、人によっては非常に大きなストレスを感じ、こういったストレスは副腎の負担になります。
※ひどい症状が長く続いている場合は、食物アレルギーやセリアック病など、他の原因を探ってみることをオススメします。
サプリメントの利用
どうしても「小麦」を避けることが難しいときに、サプリメントの力を借りるのも手段の1つです。(※体への影響等は自己判断でお願いします。)
小麦分解酵素サプリメント
小麦製品を食べる前に服用すると、グルテンの消化を助けてくれる「gluten digest(DPP4)」という小麦分解酵素サプリメントが i-Herb で購入できます。
「gluten digest(DPP4」は通常、セリアック病の方やグルテンに敏感な自閉症の子たちが飲んでいるサプリです。
またグルテンを消化できないことがグルテン不耐症の原因になっているので「塩酸ベタイン」や「消化酵素」のサプリメントを摂取することも、大きな助けになる場合があるようです。
腸の絨毛を修復するサプリメント
小腸の絨毛を修復していく栄養素で「メチオニン(Methionine)」「システイン(Cysteine)」「ロイシン(Leucine)」などのアミノ酸、マグネシウム、ビタミンB6、グルタチオンなども、ある程度の効果があると言われています。
果物のタンパク質分解酵素
キウイに含まれる「アクチニジン」、パイナップルに含まれる「ブロメライン」、パパイヤの「パパイン」など、強力なタンパク質分解酵素をもつ果物は、食後に食べることでグルテンの分解をサポートしてくれると考えられています。
グルテン不耐症の盲点
現在、世界中で「腸」に問題を起こす人が増えていています。
代表的な症状は腹痛・下痢・便秘・ガス(おなら)などですが、精神的なストレスとの関係性も深いため、自覚がないままに見過ごしている人が多いと指摘されています。
そしてその原因に「グルテン」が深く関わっていることが明らかになっています。
日常的に食パンや麺類を食べている人ほど、実はグルテン不耐症の可能性が高いと言われています。
原因不明の体調不良が長く続いている場合、日常の生活から「小麦製品」を数日間やめてみると思わぬ変化を実感できるかもしれません。
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