娘が2度目のヘアドネーションのため、2年間伸ばし続けた髪の毛を切りました。
ヘアドネーションの送り先が3つあることを初めて知り、1回目の失敗も踏まえて「JHD&C」と「つな髪」を比較して、娘は「つな髪」に送ることにしました。
ヘアドネーションは団体によって髪に関する条件、ウィッグになるまでの工程、協賛している美容室などが色々と異なります。
また「ヘアドネーションは意味がない?」の真偽について、実際にウィッグを使用している友人の声を書かせていただきました。
ヘアドネーションの送り先は3つ
「ヘアドネーション活動」は、病気や事故により髪を失った子どもたち(18歳未満)を対象に、寄付(ドネーション)された髪の毛(ヘア)を医療用ウィッグとして無償提供する活動のことです。
近年、多くの著名な芸能人が参加したことで日本でも広く知られるようになりました。
日本でヘアドネーション活動をしている主な団体は3つあります。
娘は今回、受領証もしくは認定証をいただきたかったので「JHD&C」と「つな髪」の2つを比較・検討しました。
「JHD&C」と「つな髪」を比較
どちらも寄付された髪の毛を医療用ウィッグにして、無償で子どもたちに提供している点は同じです。
大きく異なるのは寄付できる髪の「長さ」「色」「髪質」の規定と、寄付された髪の毛の処理方法です。
JHD&C | つな髪 | ||
処理方法 | トリートメント処理 | 洗浄・殺菌処理のみ | |
長さ | 31cm以上 | 15cm以上 | |
髪色 | 染め髪 | ※濃いめの茶まで | |
ブリーチ | |||
白髪 | 白髪は取り除く(白髪染めはNG) | ||
髪質 | くせ毛 | ||
天然パーマ | |||
パーマ | |||
縮毛矯正 | |||
受領証/ 認定証 | ※自分で申請する | ※自分で申請する | |
活動開始 | 2009年~ | 2016年~ | |
寄付金の受付 | あり | なし |
- ショートヘアのフルウィッグ:31cmから
- セミロング の フルウィッグ:50cmから
- ロングヘア の フルウィッグ:60cmから
※「つな髪」に届く15cm~31cm の髪の毛は、帽子をかぶって着用する「肌優」、ルームウィッグ『すずさら』に活用されています。
JHD&C(ジャーダック)
日本で最初にヘアドネーション活動を開始したNPO法人です。提携している理美容室が1番多く「JHD&C賛同サロン」は現在4,297店舗あります。
「JHD&C」は髪の毛を寄付する以外の形で活動をサポートできる「チャリティファンディング」や「新しいヘアドネーションへの提案」も行っています。
「JHD&C」に寄付された髪の毛は「トリートメント処理」が施され、大勢のドナーから集まった髪の毛が一体のウィッグに生まれ変わります。「トリートメント処理」には多くの薬品が使用されます。
メリット
極端なダメージさえなければ、年齢・性別・国籍を問わず、どんな髪の毛でも寄付することができる
- どんな髪質でも寄付できる(くせ毛やパーマもOK)
- どんな髪色でも寄付できる(カラー・ブリーチ・白髪もOK)
デメリット
キューティクルを取り除き、髪の加工処理<染色・ストレート加工>をしているため、ウィッグにダメージが残る
- ウィッグを高温のコテで巻いたり、長時間のブローはできない
- カラーリングやパーマを行うとウィッグが急激に劣化する
つな髪
(株)グローウィングが2016年にスタートしたプロジェクトで、長さ15㎝の髪の毛から寄付できることが最大の特徴です。活動に賛同しているサロンは「つな髪サポート店」と呼ばれ、現在688店舗あります。
メイン事業が女性用ウィッグの製造販売やウィッグ専用美容室の経営なので、専門のノウハウと技術を生かし、より機能性の高いウィッグの提供に力を入れています。
子どもたちへ髪本来の質感を残したナチュラルなウィッグを提供するため、「つな髪」に寄付できる髪の条件は、他の団体よりも厳しく定められています。
参考: 寄付の受付ができない髪について
メリット
髪の毛にキューティクルを残したナチュラルなウィッグが提供されている
- 髪の毛がキューティクルを保持しているので、ウィッグでも地毛と同じようなヘアアレンジを楽しむことができる
- 手触りや毛流れがナチュラルで、より自然な見た目に仕上がる
デメリット
薬品による加工処理を行わず、洗浄・殺菌処理のみでウィッグがつくられているため、髪の毛を寄付できる人が限られる
- くせ毛や天然パーマ・白髪の人は寄付できない
- ブリーチしたりパーマをかけた髪は寄付できない
- 使用できる髪の毛が限られるため、製作できるウィッグ数も限られる
※ヘアカラーに関してはブリーチ以外は寄付できますが、髪色によって、子どもたちの手に渡る「プレゼント用ウィッグ」と「カット練習用ウィッグ ※」に選別されます。
カット練習用ウィッグ ※
カット練習用ウィッグとは、医療用ウィッグスタイリストを育成するために使用される練習用のウィッグです。ウィッグは1度ハサミを入れたら2度と伸びてこないため、失敗が許されない高度なカット技術が美容師に求められます。
練習用ウィッグは、そうした人材を育成するため、ウィッグを必要としている人たちの未来を支えるために活用されています。
オーダーメイドウィッグ「フィールライン」
「つな髪」で無料提供される「フィールライン」は完全オーダーメイド仕様で、髪を結ったりおでこを出したり、自由自在にヘアアレンジができる医療用ウィッグです。
専用テープを使用することで、ウィッグをつけたままの運動・プール・入浴も可能となり、周囲の視線や行動制限による不安やストレスを軽減してくれるそうです。
参考: 「フィールライン」商品詳細ページ
ヘアドネーションは無意味?
私の親しい友人に、抗がん剤治療のために頭髪が抜けて、1年間ほどウィッグをつけて生活していた女性が2人います。
彼女たちが教えてくれたのは
インターネットには一部、
「ヘアドネーションは意味がない」のような投稿がありますが、それは実際に髪の毛を失ったことがない人たちの意見ではないかと私は思っています。
(娘は私の友人の病気を知りませんが)友人は娘のヘアドネーションを知ると、率直に喜んでくれました。
ヘアドネーションを支える人々
寄付された髪の毛が医療用ウィッグになって子どもたちの手元に届くまで、たくさんの人たちの「時間」と「想い」が費やされています。
髪の毛を選別し、洗浄除菌し、髪質や髪色が異なる髪の毛を均一にまとめる作業は機械化できず、鍛錬された職人さんたちの技術によって支えられています。
そうまでして人毛100%の医療用ウィッグを製作するのは、それを必要としている子どもたちがいるからに他なりません。
「ヘアドネーション活動」が正しい形でこれからも広がっていくことを願います。
まとめ
ヘアドネーションはどこに寄付しても同じだと思っていましたが、「JHD&C」と「つな髪」ではウィッグの製作工程がまったく異なることを知り驚きました。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分の髪の毛の状態によって寄付先を選べるといいなと思います。
カラーやパーマの経験がない健康的な髪の毛の場合は、せっかくなら薬品処理を施さずにナチュラル状態で活用してほしいと個人的には感じています。